「私、ガハクの事が好き」
夏の候。
少女は、それまでの会話に詰まり‥‥沈黙が気まずくなりかけた瞬間。
視線を下に外すように伏せ「私、ガハクの事が好き」と絞った。
「ありがとう。○○」
私は、少女の名前を呼び、小さな肩を引き寄せ、壊さないよう優しく抱いた。
久しぶりの再会。
「一緒にたべよ」
フライドポテトの端を、薄い唇と唇の間に噛み、
少女は私の目を真直ぐに見据え「一緒にたべよ」と顎を上げる。
いけない。
少女の事は好きだ。ずっと前から。
互いに強く愛しあっている。互いにそれを意識している。
ただ。少女とは歳の差がありすぎる。いけない。
私は、少女を傷つけないよう、促すように優しく、
でもハッキリと断った。
「おかあちゃん見てるからダメ」
そう言うと、少女は左を軸に背を廻して、
おかあちゃんとの間にフライドポテトを挟み、唇を交わした。
ボンジュール食堂 シェフの1粒種。愛娘。3歳の○○。
おとうちゃんが厨房にいる店内で、おかあちゃんの目の前でキッスはあかんやろ。
例え3歳でも、そのシチュエーションで、キッスはできない。
でも○○の気持ちを考えると、ポテトの端っコだけでもかじるべきだったなあ。
正直‥‥照れてしまい‥‥焦って上手に言葉を返せなかっただけ。
○○の気持ちを裏切ってゴメンね。

その後は、塗り絵に熱中してた。
もっと恋愛気分を味わいたかったなあ‥‥。ガクン。